幽玄の蝶

蜉蝣(かげろう)の日常を綴ったブログです!

小説

風の星

…無駄だと分かっていても、諦めきれない想いがある。 太鼓と笛の音色が交響曲を奏で、吊り下げられた灯籠の柔らかな光が、訪れた者達を年に一度の祝祭へと招き入れる。 家族連れや恋人同士が華やかな雑踏を過ぎ去る中、ただ一人だけぽつんと寂しげな背中を覗…

凪の星

今年もこの季節がやってきた。じりじりとした熱気が辺りを満たす祭場は、相も変わらず華やかで実に雅。 立ち並ぶ屋台、雄々しき太鼓の音、立ち止まる程に目を奪われる踊り…など、訪れた者達の感情に絶えず訴えかける。 そんな「喜」の想いを集めたこの場所に…

憧れを超える日

彼女は私の憧れだった。 容姿だけを見ればきつめの印象を与えがちだが、実際に接しているとそれがひっくり返る。騎士として歴が長いからと偉ぶるような事もなく、どんな人間に対してでも、勿論私に対しても分け隔てなく接する。それ故に領民からも慕われてお…